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2012年7月9日月曜日

SFCとFBC、それぞれの立ち位置

SFC(salmeterol/fluticasone combination: アドエア)とFBC(formoterol/budesonide combination: シムビコート)はともにICS+LABA配合剤です。2012/6月にシムビコートにSMART療法が追認可されたので、その使用が本格化する前の、2剤の比較をメモしておこうと思います。



それぞれの特徴
・FulticasoneのBudesonideに対する効果比は、1.5~2倍。
・Salmeterolはβアドレナリン受容体のpartial agonistで、気道平滑筋の弛緩効果は完全ではない。
・Formoterolはβアドレナリン受容体のfull agonistであり、その弛緩効果はSalmeterolよりも強い。
・Formoterolは効果発現が5分と速く、SABAとLABAの両面を持つ。
以上が薬理効果の特徴です。

・アドエアは、ICS量の異なる250と500の2剤型。つまりSalmoterolの1日投与量は変わらない。
・シムビコートはformoterolとbudesonideの配合比は一定で、吸入回数を増やす方式。そのため、ICSを増量すると、formoterolのdoseも増える。
以上が剤型による特徴です。

SMART療法とは?
SMART療法とは、シムビコートを定期使用している症例において、喘息発作時にシムビコートを屯用薬として使用する方式で、formoterolによるSABAの効果とともにbudesonideによるICSとしての効果を上乗せしようとする治療法です。これに関しては幾つかの臨床試験で効果が示されていますが、批判的な意見もあります。気をつけなければいけないのは、シムビコートの定期吸入が行われていることが必要なことです。

現状での私見
先に述べた薬剤の特徴から、アドエアとシムビコートでは、ICS/β-agonistの比重が違うように感じます。アドエアはICS、シムビコートはβ-agonistの比重が高いという印象です。ここで問題になってくるのは、高容量でformoterolを使用した場合のside effectです。formoterol 8puff/dayでは、動悸や振戦、口腔内違和感の出現率が高い印象です。私達は初期から高容量で使用し、症状が落ち着けばdose downするというStep down方式を主に使いますが、この場合シムビコートはformoterolのSide effectの面、服薬コンプライアンスの面、価格の面においてアドエアに劣る印象です。そもそも動物実験でβagonistの効果を観ていた自分としては、formoterolを重ねることに意味があるのだろうかと考えてしまうのです。


以上は高容量で使用した場合なので、低容量での使用であればどちらもさほど違いはないでしょう。それに、新しい治療とは実際にやってみないとわからないものです。アドエアが出た時も、こんなの必要なのか?と思ったものでしたが、今では無くてはならない薬剤になっています。
数年後には、私もここに書いたことと全く違ったことを主張しているかもしれません?

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