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2012年9月26日水曜日

癌患者さんの外来診療について その2


Aさんは肺癌と診断されて2年、抗癌剤治療を3rd lineまで施行しましたがPDとなりました。今回癌性疼痛で入院しオピオイドでコントロール可能となりました。在宅への移行を勧めていますが、家族が不安がって在宅を拒否しています。あるいは外来通院しているけど、だんだん元気がなくなってきている。こんなケースについて、書いてみたいと思います。


家族に死の受容を促す
上記のような状況では、本人の気持ちを聞いた上で家族とじっくり話す必要があります。私はこんな時に家族に「死の受容を促す」ことを意識します。「残念ながら、Aさんは近い将来、おそらく2ヶ月ぐらいで亡くなると思います。Aさんが死ぬこと、それは避けられないことです。必ずそうなります。そこを認めてください。もう一度言います。Aさんがまもなく亡くなることを、事実として受け止めてください。」 わかってます、と答える方もいるでしょう。しかし、不安が先行する場合、頭ではわかっていても心が受容できていないことが多いのです。「失礼ですが、あなたは頭の中では死を考えていても、それを十分に受け止めてはいないようです。死はまもなく必ず訪れます。その上で、Aさんに何がしてあげられるのか、Aさんにどうしてあげたいのか考えましょう。」

Aさんの死を受け止めてください。その時が訪れたときに、何で死んじゃったのではなくて、今までがんばってくれてありがとうねと言えるような精神状態でいて欲しいのです。」 私は良くこの言葉を使います。家族が腹をくくること、そしてどっしりと構えること。家族が不安になれば、本人はそれ以上に不安になります。迷惑をかけていると思います。

それでも不安が先行する場合
「あなたが感じている不安は何でしょうか? 家で一人で病人を診ることの不安でしょうか? それなら訪問看護や往診でサポートすることができます。困ったときは訪問看護のBさんへ電話すれば、見に来てくれたり、あるいは病院へ行くよう指示されると思います。」
「このまま悪くなったらどうしようという不安でしょうか。そうです、必ず悪くなるのです。Aさんはだんだん食欲が無くなり、寝ていることが多くなるでしょう。そして最期を迎えるのです。それまでの間を、どのように過ごさせてあげるかです。このまま病院が良いですか? それとも自宅で過ごしますか?」

それでも病院がいい
これだけ話しても家族の不安が強い時や、そもそも患者さん本人が自宅へ戻ることを希望しない場合は、無理をしません。終末期のトラブルはできるだけ避けたいものです。時間が経ってくると受容が出来てくることもありますからね。

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