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2014年8月24日日曜日

idiopathic NSIPはどこへ行った?

idiopathic NSIPの存在は、2008年のAJRCCMで認められました。しかし皮肉なことに、その後iNSIPはminor categoryとなりつつあります。先日当科で2008年からのVATSを確認して、その思いを改めて持ちました。

2008年1月~2014年3月まででびまん性肺疾患に対して当科で施行されたVATSは41例でした。病理組織とその後の経過を踏まえて、現時点での総合診断をしてみると…

IIPs  16例 (31.4%)
 IPF/UIP  13例
 DAD/ALI  3例

CVD-ILD  16例 (31.4%)
 UIP  6例
  NSIP  5例
  ALI  4例
  Unclassified  1例

その他のびまん性肺疾患  9例 (17.6%)
 CHP  7例
 EP  1例
 サルコイドーシス  1例

という結果になりました。

どこに行ったんだ、iNSIP ?

idiopathic NSIPがいなくなった原因は以下の3つが挙げられると思います。

1. NSIPの病理診断が減っている
NSIPの概念が出現後、UIPとして典型的でないものはNSIPと診断される傾向にあったのでは無いかと思われます。2000年代前半は、NSIPがIPFと半々ぐらいいたような気がします。しかし、2008年のATS/ERS NSIP Projectで多数例を検討した病理医は、むしろNSIPを純化し、NSIPの診断をなかなか付けなくなった様に思います。

2. CHPの台頭
上記の結果を見ても分かるように、CHPと診断されるケースが比較的多く存在します。これらの多くは病理学的にはUIP patternではありますが、それでも以前であればiNSIPと判断されたであろう症例を含みます。

3. 抗ARS抗体の出現
抗ARS抗体陽性ではあるものの、PM/DMなどの膠原病の診断基準を満たさない症例をどう分類するかは、現在問題になっています。私は、IIPには入れない立場なので、今回はCVD-ILDに入れました。ARSを測定していないNSIPは、idiopathicとは言えないと個人的には考えています。

以上、古いデータと比較したわけではありませんし、少数例だし、更には単施設で私個人のバイアスが思いっきりかかった症例選択と推論ですが、iNSIP(と診断される症例)が減っていることは確かなんじゃないでしょうか?

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