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2012年6月11日月曜日

びまん性肺疾患での気管支鏡検査の意味

間質性肺炎をはじめとするびまん性肺疾患では、気管支鏡検査でBALとTBLBが必要とされています。そのため、若手の先生は肺癌疑いと同じように気管支鏡検査をオーダーします。逆にある程度経験を積んできたびまん肺に興味のない呼吸器内科医は、画像だけ見て、「間質性肺炎、肺線維症。治療法無し。」と片付けます。一方、検査を受ける患者さんにとっては、BAL+TBLBはつらいモノです。



びまん肺におけるBALの意義
びまん性肺疾患症例において、BALの意義は以下の点にあります。

1. 好酸球性肺炎の診断
2. 感染症の除外(ニューモシスチスも含みます)
3. IPF疑い症例からのfNSIPやCHP等の抽出
4. 悪性疾患のスクリーニング

1.については言うまでないでしょう。2.についてはニューモシスチスも大切ですが、時に検出される非結核性抗酸菌や真菌なども今後の治療に影響を与えるので知りたいところです。3.も大切で、BALはIPFと言い切る根拠の一つになります。4.についても希ではありますが経験することがあります。「間質性肺炎だと思っていたけど、adenocarcinomaが出た」なんてこと、本当にあるのです。また、Lymphomaは紛らわしい画像所見をとりますので要注意です。

びまん肺におけるTBLBの意義
ではTBLBの意義はどうでしょう。

1. 好酸球性肺炎、器質化肺炎、過敏性肺炎、サルコイドーシス、悪性疾患などの診断
2. 間質性肺炎疑い症例からの、他疾患の抽出

1. はTBLBで診断可能な疾患です。逆に、間質性肺炎はTBLBでは診断がほぼ不可能です。器質化肺炎はTBLBで診断可能とされていますが、要注意です。癌やLymphomaの周囲には器質化肺炎の所見が時にみられるようですし、TBLBで器質化肺炎像を示したものの最終的にBACであった症例は経験しています。リンパ増殖性肺疾患ではTBLBの検体では小さすぎて診断できないこともあります。2.は1.の裏返しになります。

私の場合…
私の場合、BALはできるだけ行うように勧めています。例えIPFと思われる患者さんであっても、一度はBALを勧めます。二次性UIPの可能性もありますから。
TBLBはケースバイケースです。EP、OP、HPを疑う場合は積極的にやりますが、それ以外ではむしろ消極的です。NSIPやUIPが疑われるケースではTBLBでは診断がつかず、VATSがいるだろうと思われる場合はTBLBはあえて行わないこともあります。気胸のリスクもありますからね。
あと、年齢やPSなども考慮します。つまり、診断がついたからと言っても治療対象とならない場合は、侵襲的な検査を行いたくないですよね。

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