ページ

2012年7月2日月曜日

IgG4関連肺疾患のメモ的まとめ

IgG4関連疾患は、日本発の疾患概念です。障害されうる臓器が幅広く、なかなか一つの疾患として定義しがたい面もあります。呼吸器内科の領域でも広く認知されるようになってきましたので、自分のメモとしてここに記載したいと思います。
*注 あくまで個人的にとったメモですので、記載ミスや私見が入っているかもしれません。
**注 2012/7/3 内容を若干修正しました。



疾患概念の成り立ち
自己免疫性膵炎の病理組織像において、IgG4染色陽性となる形質細胞が増えていることが確認された。この他、Mikulicz病(抗SS-A/B抗体陰性のシェーグレン症候群のイメージ)、後腹膜線維症でも同様に確認。肺病変では、間質性肺炎と炎症性偽腫瘍の症例でIgG4高値となる症例がみられた。これらの症例では、障害臓器がそれぞれ単独で存在するのではなく、重複するケースが多いこともわかってきたため、IgG4関連疾患という疾患概念が誕生した。


東京びまん性肺疾患研究会でのメモ
・比較的高齢男性に多い。
・肺病変の画像は気管支血管束や小葉間隔壁の肥厚などいわゆる広義間質の病変が主にみられる。多発コンソリデーションの一見OP patternが典型例とされたモノに多かった印象
・画像はOP patternであっても、病理はOPと異なり形質細胞浸潤が強い。
・気道病変のみや、片側性胸水のみ、IPF pattern(これはIPFに合併?)といった症例もあり。
・キャッスルマン氏病や、リンパ腫でもIgG4染色陽性になることがあるので注意。
・当初IgG4が低くても、治療後に一過性上昇を見ることがある。
・TBLBで診断可能例もあるが、困難なことが多い。
・BALはリンパ球と好酸球分画が上昇。
・典型例ではKL6上昇はほとんどなし。
・sIL-2Rは高値。(1000以上)
・空洞形成例もある。
・治療はPSL 30mg/day or 0.6mg/kgで導入? (前向き試験ではこのdoseのよう。個人的にはもう少し少なくても効く印象)
・PSL 5mg以下への減量では再発例が多い。
・肺単独病変は診断が難しい。(他疾患の除外が必要)
・後天性血友病を合併することがある。
・IgG4関連疾患はステロイドへの反応が良好なのが原則。ステロイドへの反応が悪い場合は、他疾患の除外を。


呼吸器学会地方会でのメモ
・塵肺で血清IgG4上昇するケース有り。(臨床的にIgG4関連疾患と診断されない症例において)


まとめ
IgG4関連疾患は、その認知度が上がるに伴い報告例が増えています。呼吸器内科医であれば、頭の中に入れておかなければならない疾患となりました。最近では診断基準も発表されていますが、それが絶対ではないことをしっかり認識すべきです。赤字の部分は肝に銘じておくべきでしょう。
個人的には、画像での特徴や合併疾患の他に、病理で形質細胞浸潤が強い例、IgG高値例では本疾患を鑑別疾患に入れています。

追記 2012/7/14
このブログでも詳しくまとめられています。

1 件のコメント:

  1. まとめ大変参考になりました。ありがとうございました。

    返信削除