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2014年1月31日金曜日

IPFガイドラインの画像分類で気をつけること

2011年にATS/ERS/JRS/ALAT合同でのIPF GuideLineが出されました。かなりインパクトのある出来事だったと思います。このガイドラインを頼りに診療を行う呼吸器内科医も多いと思いますが、良く指摘される問題点がありますので、書いておきたいと思います。



HRCT所見が重要視された
このガイドラインでは、IPFの診断において今まで以上に画像、特にHRCTを重要視しています。これまでびまん肺に興味がある呼吸器内科医は、確かに画像を重視はするものの、その他の所見も大切にしていました。一方、びまんがあまり得意でない呼吸器内科医ほど、画像のみに捕らわれていたのではと思います。このガイドラインで画像が重視され、さらに画像所見の記述とそれによる分類までなされたことは、ある意味とっつき易くなったと感じられます。

ガイドラインでのHRCT分類
HRCTは、UIP pattern、Possible UIP pattern、Inconsistent with UIP patternの3つに分類されています。

UIP pattern (All for four features)
1. Subpleural, basal predominance
2. Reticular abnormality
3. Honeycombing with or without traction bronchiectasis
4. Absence of features listed as inconsistent with UIP pattern (see third column)

Possible UIP patterns (All for three features)
1. Subpleural, basal predominance
2. Reticular abnormality
3. Absence of features listed as inconsistent with UIP pattern (see third column)

Inconsistent with UIP pattern (Any of the seven features)
1. Upper or mid-lung predominance
2. Peribronchovascular predominance
3. Extensive ground glass abnormality (extent reticular abnormality)
4. Profuse micronodules (bilateral, predominantly upper lobes)
5. Discrete cysts (multiple, bilateral, away from areas of honeycombing)
6. Diffuse mosaic attenuation/air-trapping (bilateral, in three or more lobes)
7. Consolidation in bronchopulmonary segment(s)/lobe(s)

今回の文中では便宜上、上記3つの分類をDefine、Possible、Inconsistentと呼ぶこととします。DefiniteとPossibleのちがいは、ずばりHoneycombingの存在です。Inconsistentは、7つの所見のいずれかがあればここに分類されることになります。

InconsistentはNotではない
気をつけたいのは、Inconsistentの扱いです。Inconsistentとは、「矛盾する」とか「一致しない」などの意味ですから、Inconsistentに分類されたケースはUIPではないと考えてしまいそうです。しかし、実際にはそうではありません。Inconsistentの7つの所見は、NSIP (2、3、7)、PPFE (1)、CHP (1、2、3、4、6)、CPFE (5)の特徴的所見ですが、これらのうちCHPとCPFEは組織学的にはUIP patternをとることが多いです。また、NSIPとPPFEについても、生検部位によってはUIP patternと悩むケースもあるでしょう。InconsistentはNotではないのです。

Inconsistent with IPFとすべき
そう、CHPは組織学的にしばしばUIP patternをとります。このように、IPFとされない(つまり特発性ではない)pathological UIP patternは、CHP、膠原病関連、喫煙関連などがあり、二次性UIP patternと呼ばれます。なので、びまん肺読影の世界的権威の先生がよく言われるように、「Inconsistent with UIPではなくて、Inconsistent with IPF」なのです。

解釈の仕方
この画像分類は、IPFらしさを表すものと考えましょう。Definete > Possible and Inconsistentです。私はPossible > Inconsistetだとは思いません。二次性UIPが疑われても、原因が見つからなかったり、disease behaviorとしてはIPFだったりするケースも多いです。Honeycombingがあったとしても、Inconsistentの7つのどれかがあればInconsistentに分類されることになります。気持ち的にPossibleに入れておきたいんだけど、Inconsistentに入れざるを得ないなんてことになるのです。

ちょっとややこしい話だったでしょうか?

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