COPDと喘息の有症率はともに200万人を超えているとされるCommon diseaseです。両者ともに喘鳴を呈し、この両者の区別は時にとても困難です。今回はこれをテーマにしたいと思います。
典型例では鑑別は難しくない
喘息は夜間主体の喘鳴、発作性呼吸困難が主症状です。その症状は急性に出現する琴が多く、患者さんはいつ頃から症状が出現したのか覚えていることが多いです。アトピーなどのアレルギー素因があれば、喘息の可能性が高くなります。それに対してCOPDは慢性発症なので、いつ頃からか特定することが難しく、かつ労作時に呼吸困難を感じます。また、COPDのほとんどが喫煙と関連しますので、重喫煙者で無ければCOPDの可能性は低くなります。下記の表に示すように、典型例では鑑別にそれほど困りません。
高齢喫煙者急性発症のケースが問題
そうなると、高齢喫煙者で発症が比較的急性であるケースが両者の鑑別で問題になることがわかります。COPD患者さんは、時に感冒等による急性増悪で初診されることがあります。更なる問診で、以前から時々労作時呼吸困難を感じていたとしても、喘息を否定できるものではありません。ここで、両者を鑑別するものを挙げてみます。
1.
呼吸機能検査(可逆性、Flow-Volumeカーブ、DLCO)
2.
IgEやRASTによるアレルギー素因検索
3.
喀痰細胞診で好酸球や好中球の出現を見る
4.
胸部CTにて気腫性病変を確認する
5.
ステロイド治療による反応性を見る
#2 呼吸機能検査
#3 アレルギー素因
#4 胸部CT
#5 治療可逆性
#6 まとめ
高齢者における気管支喘息・COPDを鑑別する事は重要で、「呼吸機能検査及び胸部CT検査」は欠かせないものと思いますが?胸部単純写真で早期COPDや早期肺癌の検出が可能と思われているのでしょうか?
返信削除平成に入り、根拠ある医療「EBM」の必要性が訴えられているのですが、問診と経験のみで判断するのは余りにも安易ではないでしょうか?
コメントありがとうございます。最後のパラグラフは誤解を招く表現でした。胸部単純写真で早期COPDが検出できるとは思いません。あまりに予想外の結果を見たので驚いただけです。ご指摘のように問診と経験のみで判断することは危険です。喘息と思われる中からCOPD合併を抽出する、COPDと思われる中から喘息の要素のある症例を抽出するためには、きっかけは私の場合問診で、それを裏付ける検査所見を探すことになります。
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