COPDの診断にCTは必要ありません。COPDはSpirometoryによって診断され、画像によって診断される疾患では無いからです。にもかかわらず、COPD診断に胸部CTはしばしば利用されます。今回はCTを取り上げてみます。
COPDのCT所見
COPDのCT所見では、LAA(low attenuation area)が有名です。LAAは気腫性病変を表しますから気腫型COPDでは高度なLAAを認めます。このLAAは通常条件のCTでもわかりますが、非常に広範囲にLAAが存在する場合は一見して見逃すこともあります。そのためLAAの評価には原則的にHRCTが必要ですので、びまん性肺疾患と同じ条件でCTをオーダーします。しかし、LAAをほとんど認めないCOPDも経験します。いわゆる気道病変有意型というやつです。
気腫性変化の強いCOPDは予後が悪い
LAAが肺野全体に占める割合をLAA%として算出することができます。(技師さんとお友達になればやってもらえます。) 私の2002年のデータを下に示しますが、LAA%を30%以上と未満にわけてみると、LAA>30%群の方が予後が悪いという結果でした。つまり気腫性変化の強い方が予後が悪いと言うことです。これは何となく想像できますよね。(注:LAA%はCTの機種や使用年数などに影響を受けます。30%という数字はこの時にあてはまるものであって、普遍的な数字ではありません)
LAA%とFEV1の相関はそれほど強くない
気腫が多いと呼吸機能も悪そうな気がしますよね。下にLAA%とFEV1との関係を示します。確かに、LAA%が高くなるほどFEV1は低下する傾向にありますが、その相関はそれほど強くはありません。当たり前のことですがCOPDの気道閉塞は気腫によるものだけでは無いのです。
喘息のCT所見
それでは喘息のCT所見はどうでしょう。安定している喘息症例ではCTは所見がありませんが、発作時やリモデリングが進んだ症例では、気道壁の肥厚や肺野に軽度のすりガラスやdotをみることもあります。ABPAであればMucoid impactionやConsolidationがみられます。純粋な喘息であれば、当然LAAはみられません。
まとめると
CTでLAAがたくさん認められれば、COPDの可能性が高そうです。しかしLAAが無いならそれで喘息と言えるかというと、そうではありません。この場合は、他の所見と総合して判断することになります。
このシリーズのエントリー
#1 はじめに
#2 呼吸機能検査
#3 アレルギー素因
#5 治療可逆性
#6 まとめ
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