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2013年2月8日金曜日

私達はコーディネーターなんです

流通ジャーナリストの金子哲雄さんの「僕の死に方」を読みました。若くして肺カルチノイドで亡くなられた氏が、その思いを綴ったものです。マスコミで人気のあった氏の早すぎる、そして突然の訃報で、一躍「肺カルチノイド」が有名になりました。


この本は、とても読みやすくあっという間に読了してしまいます。呼吸器内科医としては、「?」な部分もあるにはあるのですが、氏の潔い生き方に感銘を受けます。私達はどうしても自分の都合と立場から考えたり、発言したりします。しかし、患者さんがどう思うか、どのように行動するのか、そして家族がどう思うのか、それを知ることはとても大切です。

氏は大病院での医療を希望せず(というか、見捨てられたと感じています)、私達からみると「姑息的な」医療を選択し、そしてそれに満足して残された命を全うします。妻も彼を支えます。彼は間違いなく死にゆく運命でした。そして、そこまでの道程をどうするのか自分で選びました。彼は自身の価値観から最後まで仕事をすることを選び、それを実現するための医療を探しました。納得できない自分の人生と、上手く折り合いを付けていったのです。

私達の仕事は、「死にゆく人を、いかに上手く最期までコーディネートできるか?」という面があります。そこにはEBMは通用しません。相手の主張が私達の価値観と合わない時、私達には何が出来るのでしょう? 自分の主張を押しつけても相手は満足しません。相手の希望を全てかなえることも出来ないでしょう。Win-Winの関係を築くことをめざしましょう。そのためには、自分に出来ることのバリエーションを増やす必要があります。

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