気管支喘息は慢性好酸球性炎症で、COPDは好中球性炎症とされていることは、#1で述べました。この点から喘息とCOPDの鑑別を考えたいと思います。
アレルギー素因
喘息は好酸球が関与するアレルギー疾患です。アレルギー診断においては、問診も大切ですが、末梢血好酸球増多、IgE上昇、RAST法などの採血検査が簡便です。しかし花粉症はすでに国民病となっており、RASTでスギが陽性だからといって喘息とは言えないでしょう。しかし、ハウスダストやダニに加えて雑草や犬猫など幾つかに反応する場合は、やはり喘息の要素があると推察されます。また、アスペルギルスに強い反応があればABPAを疑う根拠になります。
喀痰検査
喘息では喀痰中の好酸球が増えるとされています。細胞成分のうち好酸球が3%以上あれば好酸球増多と判断されるのですが、多くの施設で好酸球の割合までは測定できないでしょう。定性検査でもある程度の評価は可能です。ただし、喫煙は気道に好酸球浸潤を起こす事が示されていますし、喘息発作時には喀痰中に好酸球だけでなく好中球も増えることがあることは知っておくべきです。
呼気NO
喘息の気道炎症のマーカーとしてその地位を築きつつあるNOですが、当院ではまだ採用できていません。アトピーやアレルギー性鼻炎があると高くなるという問題点はあるものの、喘息とCOPDの鑑別には有用と思われます。
で、結局どうなの?
上記全ては、純粋なCOPDには無いものです。これらが見つかったときには、喘息を考えて治療戦略を組み立てることになります。私は問診で典型的COPDで無ければ、IgE(RIST, RAST)と喀痰検査は出来るだけ施行しています。
このシリーズのエントリー
#1 はじめに
#2 呼吸機能検査
#4 胸部CT
#5 治療可逆性
#6 まとめ
0 件のコメント:
コメントを投稿