典型的IPFとOP以外の間質性肺炎の診断には、VATSなどの外科的肺生検が必要とされています。しかしこの病理診断は非常に難しいようです。VATSの検体を肺病理専門医へコンサルテーションしないケースはそれほど多くないと思いますが、やはりすべきです。今回はその話題について書きます。
びまん性肺疾患の病理診断に関して、一般病理医と肺病理専門医の間の診断一致率はそれ程良くありません。これは、一般呼吸器内科医とびまんが得意な呼吸器内科医での診断一致率が高くないことと同じです。診断で問題になるのは、UIPとfNSIP、IPFと二次性UIPです。NSIPとOP、DADに関しても問題は問題ですが、こちらは足が速いので外部コンサルテーションの結果を待たずに治療に入ることも多いでしょう。
UIPとfNSIPはなかなかに難しく、肺病理専門医でも意見が分かれるケースです。しかし病理レポートをみると、取られている病理所見自体はそれほど違いがありません。その解釈と総合判断が異なるわけです。線維化主体のNSIPは予後もそれ程良くなく、IPFと同じ扱いではありませんが、ステロイド+免疫抑制剤で悪化があれば抗線維化薬を加えることになりそうです。
二次性UIPという言葉は、なじみの無い方もいるでしょう。原因のあるUIPで、慢性過敏性肺炎、膠原病性、喫煙関連、サルコイドーシスやアスベスト-シスなどです。これらを病理所見のみでIPFと区別できるかは難しい問題ですが、少なくとも肺病理専門の病理医でなければ不可能と思われます。ここで最近経験したケースを紹介します。
数年前にVATSが施行され、一般病理医の診断でUIPでした。肺病理専門医へコンサルトされたかは不明です。コンサルトしたものの結果が戻ってこなかった可能性はあります。彼らはとても忙しいですからね。この症例は、IPFの診断で経過観察されており、次第に呼吸機能と画像が悪化していました。そして最近関節リウマチが顕在化したのです。もちろんたまたま合併したのかもしれません。そこで以前のVATS検体を肺病理専門医へコンサルテーションしたところ、膠原病ベースの二次性UIPとの診断でした。この診断は臨床経過をみて出されたものでは無く、臨床情報を見ないで下した診断でした。この症例にVATS後ステロイド+免疫抑制剤で治療介入した場合に予後を改善できたかは、もちろん不明です。
VATSは急性増悪のリスクを伴う侵襲的な検査です。これをやるのであれば、私達臨床医はベストを尽くさなければならないと思います。
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