NHCAPガイドラインB群とC群について

NHCAPガイドラインについては、以前に意見を述べました。この続きを述べてみたいと思います。

NHCAPガイドラインのキモはC群にあると書きました。B群はこれまでの治療と変わりませんが、C群とされる人達に抗緑膿菌活性を持つ抗菌剤を始めから導入することが推奨されています。2013年4月の呼吸器学会総会での発表を見る限り、C群に対する治療はあまりガイドライン推奨通り行われていないようでした。つまり現場の感覚とズレているのだと感じました。

ここで、私達のレトロのデータを示したいと思います。2010年3月～2010年12月までに全例前向きに集積した肺炎症例のうち、ADLをカルテから判断してNHCAPを抽出しました。これら症例を解析しB群、C群のガイドライン準拠率をみたのが下図です。B群のガイドライン準拠率は90%でしたが、C群では8%しかいませんでした。ガイドライン発表前のことですから、当たり前です。

ここまでは前回述べた内容です。それでは、このB群とC群で治療結果はどうだったのでしょうか。その結果を下に示します。

つまり、B群とC群で同じ治療をしても、予後は変わらなかったと言うことです。もう少し別の指標もみてみましょう。

　やはりB群とC群の差は出ませんでした。この結果から見ると、C群だからといってB群と分けた治療をする必要は無いのではと思えてきます。もっとも、この結果は今回のコホートに限ったものですので、一般化はできません。今回のStudy populationでは、緑膿菌やESBL産生菌、MRSAなど多剤耐性菌（となるポテンシャルを持つ菌）はB群で3.7%、C群で28.9%でしたが、薬剤感受性の結果を見ると、真の多剤耐性はかなり少数でした。また、B群とC群合わせて91例での検討ですから、症例数が少なくて有意差がでなかった可能性は十分にあります。

それでも…、です。


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