これまで両者の鑑別について下記の4つに分けて私見を述べてきました。
1. 呼吸機能検査
2. アレルギー素因
4. 治療可逆性
そして最後にまとめをしたいと思います。
これまで述べてきた上記4つについて、どれもが決定打とならないことはご理解いただけたのでは無いでしょうか。そもそも喘息とCOPDは合併します。#1で述べたように、喫煙歴のある中高齢者ではどちらか決めづらいケースもあります。
気管支喘息は気道壁の肥厚が起こって気道狭窄します。一方COPDは肺胞壁の断裂が起こり、末梢気道を開存させる力が減ることによって気道狭窄が起こります。気管支喘息の気道病変に程度の差が存在すると仮定したとき、正常であれば気道狭窄を起こさない程度の軽度のものでも、COPD(あるいはその要素のある症例)では気道狭窄が起こってくると思います。つまり合わせ技で症状が出てくるでしょう。COPDに対してICSや合剤が有効な理由はここにあるのかもしれません。
それでは、どちらかわからない症例に対して、どのような治療介入を行うのでしょうか?
私は喘息を疑う要素があれば、合剤で治療を開始します。#5でみたように喘息の要素がかなり強い症例も存在するからで、治せるケースを取りこぼしたくないからです。この考えは某大家の先生も言っておられ、「Asthma first」とおっしゃいました。カッコイイ言葉ですね。ただしCOPDにICS+LABAを使用した場合、肺炎のリスクが増えること(INSPIRE試験)を忘れてはいけません。
喘息を疑う要素とは何でしょうか?
夜間に発作性呼吸困難がある、喘息の家族歴があるなどアレルギー素因が疑われる、喘鳴が目立つ、若年である、喫煙歴が軽いといったところでしょうか。これらの方にICS(+LABA)で治療してみた結果が#5です。結果が良いケースもあるし、そうで無いケースもある。予想よりも反応しないなという印象ではありますが、診察していて喘息(のようそがある)かもしれないなと感じることがあれば、これまでに述べたような検査を組み合わせて治療方針を決めていくことになるでしょう。
以前と比べてCOPDの治療薬が増えたことや、学会や厚労省がCOPDに対する認知度を上げてきたこともあり、General practionerはCOPDを意識するようになっています。私達呼吸器内科専門医は、個々のケースにそれぞれおいて適切な評価と治療を行わなければなりません。そのためには、診断名にとらわれないことも必要でしょう。
以前と比べてCOPDの治療薬が増えたことや、学会や厚労省がCOPDに対する認知度を上げてきたこともあり、General practionerはCOPDを意識するようになっています。私達呼吸器内科専門医は、個々のケースにそれぞれおいて適切な評価と治療を行わなければなりません。そのためには、診断名にとらわれないことも必要でしょう。
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