2008年1月~2014年3月まででびまん性肺疾患に対して当科で施行されたVATSは41例でした。病理組織とその後の経過を踏まえて、現時点での総合診断をしてみると…
IIPs 16例 (31.4%)
IPF/UIP 13例
DAD/ALI 3例
CVD-ILD 16例 (31.4%)
UIP 6例
NSIP 5例
ALI 4例
Unclassified 1例
その他のびまん性肺疾患 9例 (17.6%)
CHP 7例
EP 1例
サルコイドーシス 1例
という結果になりました。
どこに行ったんだ、iNSIP ?
idiopathic NSIPがいなくなった原因は以下の3つが挙げられると思います。
1. NSIPの病理診断が減っている
NSIPの概念が出現後、UIPとして典型的でないものはNSIPと診断される傾向にあったのでは無いかと思われます。2000年代前半は、NSIPがIPFと半々ぐらいいたような気がします。しかし、2008年のATS/ERS NSIP Projectで多数例を検討した病理医は、むしろNSIPを純化し、NSIPの診断をなかなか付けなくなった様に思います。
2. CHPの台頭
上記の結果を見ても分かるように、CHPと診断されるケースが比較的多く存在します。これらの多くは病理学的にはUIP patternではありますが、それでも以前であればiNSIPと判断されたであろう症例を含みます。
3. 抗ARS抗体の出現
抗ARS抗体陽性ではあるものの、PM/DMなどの膠原病の診断基準を満たさない症例をどう分類するかは、現在問題になっています。私は、IIPには入れない立場なので、今回はCVD-ILDに入れました。ARSを測定していないNSIPは、idiopathicとは言えないと個人的には考えています。
以上、古いデータと比較したわけではありませんし、少数例だし、更には単施設で私個人のバイアスが思いっきりかかった症例選択と推論ですが、iNSIP(と診断される症例)が減っていることは確かなんじゃないでしょうか?
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