ページ

2012年5月5日土曜日

皮膚筋炎のRP-IP


つい先日、総合内科の先生から質問されたので、この話題をエントリー。
まず言葉について。RP-IPとは急性に経過する間質性肺炎のことで、病理組織はDADの他にもOPNSIP、更にはocult UIP-aExも含まれるでしょう。それに対してAIPDADとイコールです。急性経過の間質性肺炎で組織型を確定できることは稀なので、RP-IPという“くくり”を作ったわけです。

皮膚筋炎はRP-IPを引き起こす代表的な疾患ですが、その際の病理はDADALINSIPOPです。(このあたりに関しては、またいずれ私見をアップします) これらは治療反応性が違うので、RP-IPとはいっても予後予測に関しては何の情報もありません。


最近、皮膚筋炎の自己抗体がいくつか新しく見つかっています。その中で抗ARS抗体と抗CADM140抗体(抗MDA5抗体)がとても重要です。ARS陽性例はCPKKL6が高く、発熱や呼吸器症状もあることが多いので怖い感じがしますが、NSIP/OPであることが多く、初期治療がうまくいくことが多いです。しかしCADM140陽性例の多くはDADであり、その予後は悲惨です。

さて、「amyopathicとされるCPK上昇がない/軽い皮膚筋炎に合併するIPは予後が悪い」とされますが、その理由はCADM140陽性例がこのグループに多く含まれるからです。しかし、実はARS陽性例もamyopathicに多くいます。当然ARSの治療反応性は良いので、amyopathic DMには治療が良く効く群と、CADM140陽性例の予後不良群が共にふくまれます。時々地方会等で出てくる、治療がうまくいった皮膚筋炎合併RP-IPの多くはARSなのではないかと思ってます。

このように、ARSCADM140はとても重要なのですが、まだ一般臨床では測れません。共に商用化に向けて動いているようですので、早く使えるようになると良いですね。

関連するエントリー:皮膚筋炎の自己抗体

0 件のコメント:

コメントを投稿